2025.1.17 香水について | キャンベル  

2025.1.17 香水について


オーストラリアでは、2024年ティムタムの生誕60周年を記念して、ティムタムのオリジナル香水が登場しました。今回特別に、音楽家で文筆家の菊地成孔さんに香水を試していただきました。

香水について

僕は香水愛用者で、ワインも本の少々嗜む方ですから、そういう向きは概ね、香りを混合物と捉えて、その原料をひとつひとつ、例えば「若いカシスとベリー、樹皮と少しの土、クローブ感もあり」とか何とか、実のところ、頑張って探すわけです(笑)。

ヘンゼルとグレーテルの御伽話がどんなに恐ろしかろうと<お菓子の家>の魅力は物凄すぎて、何回読んでも、<お菓子の家>の事で頭がいっぱいになってしまった。未だにヘンゼルとグレーテルが、どうして、どうなったかは覚えていません。それよりも、お菓子だけを建材として出来上がった建物、の、夢のような姿、香り、味、の全貌は圧倒的で、子供の想像力にはとても収まりきってはくれず、子供の想像力のスペースは、もうパンパンに膨れ上がっているまま、永遠に埋まりきらないんでしょうね。

もう、相当前の話ですが、アメリカの女性人気歌手が、自分のブランドを立ち上げて、自分の名前の香水を出した時、「うっわコレ、ヴァニラアイスと全く同じ香り!!」ってびっくりしたことがありました。

今では、香料がものすごく発達してますから、何の香りだって出せますよね。tim tamの香りだって楽勝でしょう。

ただ、瓶のデザイン、箱のデザインの、欧州ハイメゾン風の重厚感、それがtim tamの香りそのものだっていう商品バランスが楽しいですよね。出来たら、纏う瞬間を見せたいですよね。シュッシュッとこう、「どんな香水なんだろう?」と思わせて、近づいたら「うわー、お菓子のtim tamじゃないかこれ!可愛いー!!笑」って、食べたくなっちゃうでしょうね。アナタを(笑)。

菊地成孔氏 プロフィール

1963年生まれ。音楽家 / 文筆家。ジャズ、ポップ、ヒップホップ、エッセイ、批評、DJ、大学講師、プロデューサー等々「1個人にその仕事の全てを鑑賞する事は基本的に不可能」「ファンの数だけ菊地成孔像がある」と言われる極端なジャンル横断的多作家であると同時に、1曲、1冊にでも触れれば、菊地の作品世界に入り込んだと言える強いブランディング力を持つ。

Direction:菅井葉月
Photographer:在本彌生
Location:B.Y.G
協力: ビュロー菊地/TAR production/tokone

Bureau Kikuchi
TimTam 香水について